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江川卓投手|球速まとめ 後楽園球場のスピード計測の罠

元祖「怪物」として”歴代No.1のストレート”の呼び声も高い江川卓投手。

2021年12月4日深夜に放送された『Going』ではAIなどの最新技術を用いて球速を計測した結果を公開し、1981年9月9日の大洋戦で20勝を達成した登板における最後の投球が158km/hであったと明かされました。

YouTubeにアップロードされている当時の野球中継で計測された中では1981年9月3日のヤクルト戦における151km/hが最速のようですが、平均的にはどの程度の球速表示されていたのかが気になるところです。

本記事では当時のテレビ放送にて計測された球速を手作業でまとめて分析した結果をお届けします。
検証した経過で意外な事実も判明しましたのでお楽しみに!

2分11秒頃~ストレートのスピードについてご本人が言及

登板日別最高球速・平均球速

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最高球速は1982年5月30日に大杉選手に投じた150km/h。(ファンには有名なシーンですね)
平均球速は約141km/hでした。勝負所でのギアチェンジが特徴の投手とは言えかなり遅く感じますね。
また、1984年以降の球速が上がっている事が意外でした。

イニング別球速分布

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9回が最も速くなっており、”江川は尻上りに球速が上がっていく”という言説を裏付けています。
近年では完投が珍しく、QS/HQSという指標が一般化されたためか初回が最も速く回を追う毎に下がっていくのが一般的です。

球速の分布が130km/h台から140km/h台まで非常に幅広いです。
勝負所でのギアチェンジが特徴とは言え広すぎるようにも思えます。

球場別球速分布

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ナゴヤ球場、神宮球場は平均144km/h前後でバラツキも小さくなっています。
当時のナゴヤ球場や神宮球場の中継では初速/終速と推測される2種類の速度が表示されており初速と思われる速い方の速度を採用しています。

後楽園のみ140km/hを切っており、且つ速度の分布・バラツキが非常に大きいです。
”当時の後楽園(日本テレビ)の計測表示は終速のため他球場より遅く表示される”という話を聞くことがあります。これについては分布が広がっているのではなく、下にずれているのであれば理解できるのですが。。。

ナゴヤ球場の球速表示:上段:初速 下段:終速と思われる速度が表示されている

後楽園(日本テレビ)ではなぜバラツキが大きいのか?

後楽園球場(日本テレビ)でなぜバラツキが大きいのか? 動画を詳細に観察してみました。
その結果、意外な事実が判明しました

計測結果表示が投球中に変化している?

球速表示と見た目のスピード感が一致しない投球をスローで観察したところ、何と計測表示が投球中にリアルタイムで変化している事に気づきました。当然ながら今回球速として記録してまとめているのは変化後(低速)の数字です。

1982年5月2日 当初147km/hと表示されたものが数コマ後に139km/hに変化

最初に表示された球速はすぐに書き換えらえるため投球に集中していると気づかないのですが、スピードが表示される部分を凝視していると通常の再生スピードでも投球中に表示が変化しているのがわかる場合があります。

1982年5月25日 当初145km/hと表示されたものが数コマ後に138km/hに変化

計測結果表示が変化しないケース

球速が初速?のまま変化しないケースもありました。

1982年5月25日 145km/hと表示されたまま変化せず。

終速(?)のみ表示されるケース

通常表示されるタイミング(投手と打者の中間地点)で表示されず、ホームベース付近になってようやく表示されるケースもありました。

1982年5月2日 中間地点では球速が表示されず、ホームベース付近になってようやく表示された

ご自身やお子様の球速を測定し成長に役立てたい方はIOTボール・スピードガンをおすすめします。

考察

当時の後楽園球場(日本テレビ)におけるスピード計測表示に明確な基準がなく、計測表示される場所が一定でなかったことで他の球場と比較してバラツキが大きい結果となっていた可能性があり、初速ではなく終速を表示していたケースが少なくなかったと推察されます。
1980年、1982年、1983年の動画で投球中に球速が変化する現象を確認しました。
1984年以降では同様の現象は確認できず、終速表示でなくなった可能性が高いです。これは1984年以降、江川投手は不調で成績は下降線をたどっていたにも関わらず平均球速が高かった事と整合的です。

また、一口に初速・終速と言っても投球プレートやホームベースからどの程度離れた位置を測定しているかで結果は大きく異なります。

計測方法が異なる現代の投手の球速と比較すること自体に無理がありますが、あえて比較するのであればナゴヤ、神宮における測定結果(平均約144km/h)のほうが少しは意味がある結果になりそうです。

江川卓投手の場合、前述の『Going』で計測された2750RPMという高い回転速度(1分間あたりの回転数)と回転軸の傾きの小ささによる手元で浮き上がって見えるような球質こそが真骨頂であり、今後も”歴代最速投手は誰か?”という議論の中心として語り継がれていくのだろうと思います。

参考(今回の検証方法)

検証方法
江川卓投手が先発登板した野球中継にて画面表示されたストレートの球速を手作業で記録し、登板日別、年度別、イニング別、球場別などの結果をまとめる。初速/終速同時表示の場合には初速を記録する。
対象期間
1980年~1985年
対象試合
公式戦及び日本シリーズ ※投球数が限定されるオールスター戦は除外する。
1980年…1試合 1981年…3試合 1982年…9試合 1983年…3試合 1984年…2試合 1985年…2試合
その他
登板日及び投球イニングが明確な動画のみ対象とする。
(前述の151km/hを計測した投球はイニングが不明なため除外しています)

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